加藤シゲアキ『チュベローズで待ってる』を読んで

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Twitterでも勢いよくツイート連投したけど140文字じゃおさまらない!伝えきれない!この想い!!!というテンションと勢いのまま綴ります。

チュベローズで待ってる AGE22

チュベローズで待ってる AGE22

チュベローズで待ってる AGE32

チュベローズで待ってる AGE32

『チュベローズで待ってる』面白かったです。
2018年さいしょの読書として、あまりにも幸福な時間だった。


500ページ超なんて重量をいい意味で感じさせない。新宿歌舞伎町のホストクラブを、2025年の世界を、映像を想起させる、軽やかな読み心地の文章。
散りばめられた伏線ともやもやした違和感と薄っすら見える真相、展開が気になってページをめくる手は止まらず、気づけばあっという間に読み終わっていた。

そして最後には、一章からは想像もしていなかった光景が見えていた。

名称どおり、『AGE 22』は主人公が22歳の時の、『AGE 33』はその10年後のお話で。
『AGE 22』を読んだ時点では、「なるほど、まあ、面白いけど、過去作以上かと訊かれるとわからないな」「切ない青春小説って印象しかないけど、でもアオリはミステリーだったよね…?」というぼんやりした感覚だったのが、『AGE 32』の途中から、

「いや待てコレ、最近読んだエンタメ小説の中でも相当面白い部類になるやつじゃねーか!」
「っていうか映画!ドラマ!何にせよ映像化ぜったいするでしょ!? しなきゃおかしいでしょ!? ピンクとグレー』も映画化したんだし、っていうか『チュベローズで待ってる』こそ映像化やるべきでしょ!!!?????」

って、どんどんテンションが上がっていった。


私はミステリ小説が大好きで、近年とくに流行っている伏線回収大どんでん返しモノも大好きで。
もはや一つのジャンルのようになっている、そのエンタメ小説の王道ともいえる素材を使って、こういう味付けと調理法で挑んでくるんだな作家・加藤シゲアキよ…!!!! ってところも興奮度が高かった。

ホストクラブを舞台にした『AGE 22』のほろ苦くかすかに甘くやさしく切ない青春小説らしさと、『AGE 32』で明らかになる「これはどのような物語だったのか」。

このあたりはもう、実際に読んで確かめてほしいので深くは言及しないのですが。

終盤に急転する作品はドライで陰鬱な後味のものも結構あるんだけど、そこをさぁ…ああいう、センチメンタルかつロマンティックな終幕を用意するってところがなんか、すごく、グッときてしまいましたね。

私自身は後味のわるい身も蓋も希望もないフィクションによって逆に安寧を得る人間というか、なんというか、こう、照れちゃうんですよね…ああいう余韻が残るかんじ……。でも作家・加藤シゲアキはその路線を選ぶ(というか、物語的に必然的な終わりでもあるんだけど)ところが、ちょっぴり私には気恥ずかしくて、でもきらきらうつくしくて、救われたきもちにもなって、すごくいいなあ、っておもいました。


あと、これ『AGE 22』読了後にツイートしようとしてやめたんだけど、とある女性キャラがね、すごく良かったんですよ。

これまで読んだ加藤シゲアキ作品で、「この男性キャラはいいな」と思うことはたびたびあったのだけど、女性キャラにはあまり思い入れを持つことが出来なかったのに、はじめて「あ、このひといいな。好きだな」と惹き込まれて。だからこそ主人公の選択や行動にするっと感情移入出来たところもあって。

もちろん、男性キャラも魅力的です。
自意識と自尊心が絡み合って「め、めんどくせぇ…! でもなんか…なんかわかる…憎めないしこういう子が好きな女性はいる……」という感覚にさせてくれる主人公の光太、小柄で端正な顔立ちでどこか品があるルックスに中年男のような関西弁で光太をホストにスカウトするナンバーワンホストの雫、光太と同時期にホストクラブに入りすぐさま才能を開花させる純真そうな天才肌の亜夢。

それぞれ「映像化するならジャニーズのあの人…いやこの人もいいな、っていうか加藤さんにやってほしいところもある……」という妄想を掻き立ててくれます。

とはいえこの作品は決して「キャラの魅力で読ませる小説」ではなく、あくまでも「ストーリーで魅せる小説」なのですが。


で。この「作家」としての彼の仕事は、「アイドル」としての仕事に、きっと良い還元をもたらすんだろうな~!っていう未来しか見えないんですよね。

映像化するなら主題歌NEWSが歌うでしょうし、この世界観に合う楽曲はこれまでのレパートリーに無い魅力がありそう。
メンバーが出演するかもしれないし、ジャニーズの他のタレントが出るかもしれないし、本人が出る可能性もあるかもしれない。
もしドラマになったら映画館行ってお金を払わずとも誰でも観れるわけで、この作品を通じて、作家・加藤シゲアキに興味を持つひとがもっと増えるかもしれないし、アイドル・加藤シゲアキに興味を持つひとやNEWSに興味を持つひとも増えるかもしれない。

アイドルのオタクという観点からすると「アイドル・加藤シゲアキは、アイドルというフィールド外に凄まじい武器を備えている」ということになるし、
作家のファンという観点からすると「ふだん本を読まないひとへの超強力なアピール手段を持つ作家・加藤シゲアキは強い」と感じる。

なんか2018年の今、わたしは、すごいひとを、そのひとが歩む物語を見せてもらっているんだなあ…とあらためて感じました。


……などといろいろ書きましたが、今回いちばん感じたことは、すごくシンプルで。

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過去には、『ピンクとグレー』を読んでよくわからないポエムを綴ったり、『ESCORT』を観てテンション上がりすぎて私の中のおじさんが暴走したり、あるいは、NEVERLAND『あやめ』から、あの数分のパフォーマンスから私が受け取ったものは、あまりに壊れやすく大切すぎてことばに出来ていないのだけど。

ほんとうにね、加藤シゲアキさんの生み出す作品が好きです。

次回作も楽しみにしています!